コマツ 大阪工場・生産技術開発センタ

ものづくりプロセス革新賞

主要事業 :
大型ブルドーザ、中・大型油圧ショベル、資源リサイクル機械の生産
設  立 :
1952年(操業開始)
従業員数 :
2,700名
所 在 地 :
大阪府枚方市上野3-1-1
代 表 者 :
執行役員 栗山 和也 氏、執行役員 岡本 望 氏

総合所見

コマツ大阪工場(大阪府枚方市)はコマツ創業31年後の1952年に開設された。生産技術開発センタは同敷地内に所在し、海外拠点を含めた全社・全事業所の生産技術の開発機能を担っている。

現在の生産革新の取組みに至った背景を辿ると、その1つにコマツの仕組みとしてマザー工場はチャイルド工場の責任を持つシステムがある。この仕組みにおいては、世界統一の図面、統一の生産管理をベースにしたクロスソーシングも可能となるように、大阪工場がチャイルド工場のコントロールセンタとして機能することが必要であり、コマツの全世界の需給を見える化し、最適化している。技術的な側面として、大阪工場は、新しい技術の開発拠点でもあり、技能のお手本になることが望まれている。「つながる工場」を推進し、生産性2倍、サプライチェーン最適化、トレーサビリティ確保による品質保証を目指す必要があった。

このような「つながる化」の活動は、大阪工場所内にある生産技術開発センタと協働し、その仕組みであるKOM-MICS(Komatsu Manufacturing Innovation Cloud System)を導入、および活用し、科学的アプローチによりプロセス革新を自工場から協力会社まで広範囲に行った。その活動の中では、生産技術開発センタと大阪工場が行ういくつかの部会を上手く活用し、導入推進、そして効果創出にうまく結びつけていった。これらの活動を通じて、大阪工場、ならびに協力企業の生産プロセスが改善・革新され、効果をもたらした。特に以下の4点が特徴的で有り、評価できる。

  • 大阪工場がコマツウェイの実践を行う模範的なマザー工場として、ものづくりの力を技術面・技能面・組織連携面から向上させていること。
  • 同敷地内にある生産技術開発センタと現場レベルで垣根無く、「つながる化」の仕組みであるKOM-MICSを導入、活用推進し、大きな成果を出していること。また、その対象範囲を協力企業にまで拡大し、展開していること。
  • KOM-MICSを改善の質と効率を向上させるための高速PDCAツールとして、実質的に活用し、①鳥瞰的に現場を数値化し、ロスを発見し、改善に結びつけていること、②加工などの基準値まで引き上げる均質化改善と、さらに新たな課題を設定する改善に結びつけていること。これらの活動とツールを協力工場、海外拠点まで、グローバルに展開する基点としていること。
  • 大阪工場がグローバルマザー工場として、KOM-MICSを開発・拡張、それらの有用性等を検証していくマザーとしての機能を充実し、かつ改善事例を集約する情報ハブとなり、多岐にわたる現場の改善や活性化に役だっていること。さらには、改善指導・推進、これらを有効活用できる人を育成する人材育成機能として、大きな役割を果たしていること。このような機能、活動を、親(マザー)としてのインフラ投資を長期目線で行っていること。