審査視点
メッセージ MESSAGE
日系の優良工場を表彰するGOOD FACTORY賞®も今回で第13回を数えます。現在では応募企業の活動も進化し、海外生産拠点としての一本立ちへの挑戦、現地従業員と文化に適合した独自のマネジメントの実現、さらに海外拠点発の優れた仕組みを国内工場へ逆流入といった動きも増えてきました。一方グローバル市場では海外生産のメリットと現地でのコストアップ等とのバランスを取ることを余儀無くされ、多くの企業では海外生産を維持しつつも生産の一部を国内に戻すリショアリングなどでこうした影響の調整が不可避となっています。
GOOD FACTORY賞®の審査では工場の変化や生産の革新について直接現地で活動の実態を把握するととともに、工場トップから現場従業員へ至るまで多様な声を丁寧に汲み取る姿勢を貫いてきました。工場の評価には様々な指標と尺度がありますが、審査では対象となる活動を推進するための仕組みが確立されているか否かを重視しています。すなわちどのような理由でどんなプロセスを経て活動を進めてきたのか、また見出した独自の優れた仕組みが組織にしっかりとビルトインされているのか、さらにはそれがトップや従業員が代わっても持続可能で、そして何よりその活動が他社にとって参照価値のあるのかどうかが重要な審査ポイントです。
またGOOD FACTORY賞®では多様な背景を持つ審査員それぞれが独自の視点で審査することが大きな特徴であり、書面審査会では議論の分かれることがしばしばあります。そこで重要となるのが現地での審査です。トップの考えやマネジメントに触れるだけでなく、現場を支える従業員、設備そして環境までしっかり観察して問う、このような積み重ねで得た情報こそ他に類を見ない審査委員会の最大の資産です。こうして受賞した企業の活動に触発され、次は自らの活動を客観視して新たな挑戦へ繋げるため是非応募したいという工場からの声が毎年寄せられています。これからも私たちは皆様の優れた取り組みをGOOD FACTORY賞®を通じて日本中、そして世界中に発信してまいります。
GOOD FACTORY賞®
審査委員長
日本大学 理工学部
シニアリサーチフェロー
柿崎 隆夫
審査委員会
柿崎 隆夫 | 日本大学 理工学部 シニアリサーチフェロー |
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伊藤 謙治 | 東京理科大学 経営学部 教授 東京工業大学 名誉教授 |
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新 誠一 | 電気通信大学 名誉教授 キヤノンメディカルシステム株式会社 先端研究所所長 株式会社アイシン 社外取締役 |
坂爪 裕 | 慶応義塾大学大学院 経営管理研究科 ビジネス・スクール 教授 |
大木 清弘 | 東京大学 大学院経済学研究科 准教授 |
青木 洋貴 | 芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 教授 |
石田 秀夫 | 株式会社日本能率協会コンサルティング 取締役 シニアコンサルタント |
石山 真実 | 株式会社日本能率協会コンサルティング シニアコンサルタント |
松田 将寿 | Transformation Consulting合同会社 CEO Management Consultant |
4つの審査視点
(審査の要件)
GOOD FACTORY賞®は、学識経験者と専門家(コンサルタント)で構成される審査委員会により、
「しくみ」「運営」「効果」「マネジメントの基盤」の4つの視点から、審査を行います。
1.しくみ
対象となる活動を推進するベースとしての仕組みが確立されている
- 活動計画化のしくみ
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- 事業所のビジョンを明確化する活動計画作成の仕組みがある
- 的確な活動計画を策定する組織的仕組みがある
- 活動実践のしくみ
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- 活動の内容・方法や期待値等の情報を関係者に事前に十分提供している
- 職場管理者が、活動のなかで部下の活動を支援するしくみがある
- 活動を評価するしくみ
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- 活動の推進過程で関係者の意見を把握し評価するしくみがある
- 職場管理者が、活動のなかで部下の活動を支援するしくみがある
2.運営
対象となる活動が日常の業務の中でいかに運営されているか。
事業所戦略と対象となる活動が密接に関連して推進されているか。
- 事業所ビジョンの明確化と対象となる活動の連動
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- 事業所のビジョン・事業計画が明示されている
- 事業ビジョンが事業所内に浸透し、かつ共感をもたれている
- 戦略と実践
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- 部署別・階層別の活動の重点が把握されている
- 活動が職場の問題解決に反映されている
3.効果
対象となる活動の目標が達成され、効果が高いと認められる
- 活動の成果
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- 活動の成果が工場・事業所全体に波及し、工場・事業所の経営指標に反映されている
- 工場・事業所の体質と価値観が新しい世代にも共有・継承されている
- 職場高度化の成果
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- 効果測定の結果、職場の高度化への成果が出ている
- 革新活動の成果を職場で報告・公開している
4.マネジメントの基礎
対象となる活動を積極的に推進するマネジメントの基盤が形成され展開されている
- 活動に対する事業所トップ・幹部の姿勢
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- 工場・事業所トップ・幹部が、本活動を通して工場・事業所を変えていくことにより、変革を柔軟に受け入れる風土づくりができると考えている
- 工場・事業所トップ・幹部が、中・長期的視点で継続的な活動展開につながることを意識づけている
- 活動に対する社員の意識・行動
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- 社員が意欲的に自己の活動目標を立てている
- 社員が自己の行動を全体成果に活かそうと行動している