ヤマハ株式会社 / PT. Yamaha Music Mfg. Asia (YMMA)
ものづくり人材育成貢献賞
総合所見
YMMAは、「継続的に競争力を維持向上できる本格的な工場」を目指して、デジタル楽器、プロオーディオ機器を生産する工場として、1997年5月に設立された。当時のヤマハ(株)・電子楽器事業部(現デジタル楽器事業部)にとって、初の本格的な海外工場の設立であった。以前にもいくつかの海外工場を設立していたが、何れもインドネシアでの販売用商品をKDで生産するためのもので、当初から全世界向けの製品を生産する事を前提とした工場はYMMAが初めてであった。
こうした中で、生産品目にプロオーディオ機器が追加されることで、生産量は1998年の10倍以上、人員体制も8倍以上に拡大してきた。当然、大きな生産増大に対応するため、人員構成は若い契約社員(平均年齢21歳)が主体で約70%を占めている。これは、インドネシアの労働状況も大きく関係している。インドネシアでは、正社員が厚く保護される規定が多く、リスクを避けるための厳しい正社員登用を実施するとともに、結果的に契約社員が主体の人員構成にならざるを得ない状況にある。
また、多品種少量生産であるため、一部工程を外注化しようにも受けてくれる企業がなく、多種多様な工程を内作で生産する必要がある。
このように、多種多様な工程を、急激に増加させていった契約社員中心の人員構成で、品質、コストを造り込み、顧客に競争力ある製品を提供していく必要があった。
そこで、始めた活動が「3段飛び上りプロジェクト(PPTT活動)」である。本活動は生産現場およびスタッフ業務の改革を対象としており、6つの委員会をローカルマネジャーがリーダーシップを持ち推進しており、そこが評価できる。日本人メンバーはわき役に徹して、あくまでもローカルマネジャーが主役になるように、モチベーション向上、各種教育カリキュラムを準備している。単なる教育ではなく、やるべきテーマを成功させるための支援として教育カリキュラムが明確に位置付けられている。