富士ゼロックス株式会社 / Fuji Xerox Shenzhen Ltd.

ものづくりCSR貢献賞

総合所見

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 流動性の高い中国の労働市場を見据えて、就業経験の無い16歳の地方出身者を工員として戦略的に採用している。もっとも、人生経験に乏しく感情が不安定な若年労働者の扱いには特別な注意が必要である。そこで、旧来の日本が培った中卒、高卒の方々への教育を実践している。若いうちに5Sなどの必要性を叩き込むとともに、社員旅行、社員運動会などの会社の面白さを前面に出している。同時に、カイゼン提案の積極的奨励や顕彰など現場力を活かす面白さを経験させている。

 このような配慮は、若者の不安定性のサポートにも配慮されている。毎月、資産形成、異世代コミュニケーション、子育てなど直接仕事と関係無い講座を開設している。並行して、全ての従業員が会社のトップに直接会って要望を聞いてもらう制度や、CSR箱と呼ばれる目安箱に匿名で要望を会社に伝える仕組み、そして社内イントラネット経由で要望を伝える仕組みを準備している。それに留まらず、専門業者を使って24時間相談窓口を開設している。現場では組長が工員を個別にケアしている。このケアは優秀な工員を昇進させる仕組みにも通じている。現在、中国人の従業員が徐々に会社の中枢に上がってきている。

 このようなケアの結果、深圳の他企業に比べて離職率が三分の一程度と低い。忠誠心の高い熟練社員を蓄積していくことで生産性も高い。これらのことは深圳市なども評価し、表彰を受けている。さらに、一人っ子政策、人件費の高騰などによる中国自体の変化の中で、人を中心としたカラクリの活用など変化への対応も進めている。

 以上のような取り組みについて、董事長から現場の工員まで多数の方の生の話を聞き、実際に製品である多機能機の生産ラインを視察した。担当審査員としてはCSR貢献賞に該当する成果を上げていると判断した。