トヨタ紡織株式会社 インタビューその4|現地中国人社員の定着率は?

GOOD FACTORY賞受賞企業のトヨタ紡織株式会社 広州桜泰汽車飾件有限公司
総経理 吉川靖司さん
工場長 堀井敏さん
にお話を伺いました。日本能率協会の小宮太郎がインタビューします。
(以下敬称略、お役職はインタビュー当時)

現地中国人社員の定着率は?

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小宮
今年で10年ということですが、マネージャー層、ミドル層以上の従業員定着率は高いのでしょうか。

吉川
ちょうど昨年が10周年です。

それでこの間、表彰式で金バッジみたいなものを差し上げました。

10年間ずっと働いてくれている部長級がおりますし、係長級でも10年間、現場を守ってくれている従業員がいます。
そういう人たちが工場の核になっています。

問題は品質の技術員ですね。

日本でいえば生産技術の担当者です。
あの辺の人は他社もほしいですから、引き抜かれることもありますよ。
良い人材は特にね。

それで少し落ち込んだ時期もありました。
社会貢献ではないですが、それはもう仕方がないと考え、また1から育てることにしました。

あとは魅力ある工場にして、そういう人材が辞めないようにするしかありません。

そういう気持ちで取り組んだ結果、核になる人材はだいぶ、定着してくれています。

堀井
特に、管理層の定着率は高いですよ。

吉川
ただ、日本でいうゆとり教育後の人間、中国なら一人っ子政策の年代が入社してきています。
そこはちょっと弱いですね。

事前に教育はしていますが、きつい仕事をとても嫌がりますから、作業を軽減する工夫も必要になるでしょう。

これはどこの国でも同じでしょうが、取り組み方も頭を使わなければいけませんね。

小宮
先ほど堀井さんから実車でエラーを確認する話が出ましたが、そういう取り組みは日本でもやっていますか。
日本で車を購入して「われわれのエラーがこんな問題につながる」と実際に見ていく作業です。

堀井
日本ではあまりないと思います。

中国のうちの従業員は自分の車を持っている人が非常に少ないのです。
多分、数%しかいないでしょう。

だから、自分の検査している部品がどこについているのか、本当に分かっていません。

それで総経理にお願いし、実車でチェックすることを始めたのですが、日本は所有率がもっと高いですから、そういう検査の勉強会をすることは少ないでしょう。

小宮
普段、車に乗らないと実感がわかないでしょうね。

吉川
ついている部品が何をするためのものかが、分かっていません。

ベルトのバックルみたいな部品を見ても、これが何なのか分からないので、どっちにつけてもいいと考える人すらいるのです。
だから、そういう部品の1つひとつを自分の目で見てもらい、確認してもらう方が、分かりやすいだろうと考え、始めたわけです。

堀井は「あまりないだろう」といいましたが、日本でも「この部品はこういうふうについているから、重要視して」と現物を見せて教えることはあります。

ただ、中国の場合は車を持たない、運転したこともない、免許証も持っていない人が作業しています。

日本以上に現物を見せて教える意味がありますよ。

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