梶文彦の「ニッポンものづくり紀行」 その46|エンタシスの謎
これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。
エンタシスの謎
もう一つ、西洋から導入したとされているのが、エンタシスの柱構造。法隆寺も、薬師寺も、柱は、まっすぐずんどうに作られているわけではありません。
よく見ると、上下の真ん中から少し下あたりが膨らんでいます。これは、ギリシャの神殿などの柱に用いられたエンタシスという形です。
丈夫で、見た目に安定してら見れる、そして、目の高さが一番太く、上下に行くにしたがって細くすることで、柱を長く見せるなどのためと言われていますが、実はこちらの方は、どうしてギリシアで使われた形式が、奈良の寺社で用いられているの、よくわからないそうです。
この形は、、ギリシャと日本の間で、建設を指導した中国にも、韓国にも、どこにもないそうなのです。
飛鳥人の独自の工夫なのか、それともギリシアの柱を模倣して導入したのか、詳細は不明なのです。
洋の東西を離れて、もし独自に発見しているとしたら、どういう経緯でこの形が取り入れられたのか、知りたいところです。エンタシスの謎――歴史は技術的のロマンにもあふれています。
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梶文彦氏執筆による、コラム「ニッポンものづくり紀行」です。梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています!
地球の歩き方「Look Back Japan –ものづくり強国日本の原点を見に行く」連載中!