梶文彦の「ニッポンものづくり紀行」 その23|桐生/足利に見るものづくり遺産の残し方(8)<有鄰館>
これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。
桐生/足利に見るものづくり遺産の残し方(8)<有鄰館>
店舗と酒や味噌づくりを行っていた複合施設で、現在も店舗が営業中です。天満宮の交差点に戻って、本町通りを下って行くと、左に煉瓦の建物と、土蔵、古い商店が見えてきます。
かつての豪商、矢野家の建物で、表に古い酒屋の構えがあり、裏に味噌などを醸造してきた土蔵、煉瓦蔵、塩蔵など8つの蔵があります。表にある店舗はいまでも酒や乾物を扱い営業中ですが、蔵やお店は公開されていて、中を拝見できます。また、店舗内の一部は、喫茶コーナーにもなっていますので、話を聞きながら、お店の様子を眺めての一休みもおすすめです。
近江商人だった初代が1749(寛延2)年にここに店舗を構えて以来の建物群で、煉瓦造りや木造、土蔵など1890(明治23)年以前に建てられたものもあります。店の内部は思ったより天井が高くて広い。明治時代の看板や商品のエンブレムなどがあり、東京・馬喰町、竹内製造「改造第四号」と書かれた珍しい金庫も置かれています。見学者を受け入れてくれますが、営業中なので、邪魔にならないように拝見させていただきましょう。
本町通りに面した矢野本店の横にあるレンガ倉庫のビール蔵。コンサートなどにも使われている。
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梶文彦氏執筆による、コラム「ニッポンものづくり紀行」です。梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています!
地球の歩き方「Look Back Japan –ものづくり強国日本の原点を見に行く」連載中!