受賞企業・選考理由・所見
ファクトリーマネジメント賞
旭化成株式会社
ライフイノベーション事業本部
ロイカ事業部 ロイカ工場
主要事業 | プレミアムストレッチファイバー「ロイカ®」の製造販売 |
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設立 | 1931年5月21日(旭化成株式会社) |
従業員数 | 120名(ロイカ工場、2023年6月1日現在) |
所在地 | 〒524-0002 滋賀県守山市小島町692番地(ロイカ工場) |
代表者 | 旭化成株式会社 ライフイノベーション事業本部 ロイカ事業部 ロイカ工場 工場長 藤原 豊 |
「人」「データ」「組織風土」を柱としたスマートファクトリー化へのアプローチ
受賞理由・所見
旭化成株式会社のロイカ工場は、絶滅危惧種の淡水魚「ハリヨ」の生息域外保全活動および地域と協働でのトンボの保全活動等の環境活動に積極的な旭化成株式会社 守山製造所内(琵琶湖の南東、滋賀県守山市)に位置する。旭化成のグループミッションには、「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します」とあり、グループビジョンには“「健康で快適な生活」と「環境との共生」の実現を通して、社会に新たな価値を提供していきます”ということが企業の存在意義として示されている。
このロイカ工場は、プレミアムストレッチファイバー「ロイカ®」供給のマザー工場と位置付けられており、同敷地内にある研究開発部門、生産技術部門も踏まえてマザー工場として製品・生産技術開発の中心となって、海外拠点支援も行っている。このようななか、昨今、ロイカの生産技術は操業50年に渡る累積的イノベーションも飽和状態に来ていると考えられ、今後も製品競争力を維持するにはスマートファクトリー化を通じた生産技術のさらなる高度化(データドリブン)へ取り組む必要があると認識された。このような考え方をベースに、今後のデータドリブンな生産技術強化を進めるべく体系的、段階的な革新・改善を進めていくための目標状態をスマートファクトリー成熟度という枠組みに置き換え、単純なデジタル置換にとどまらないよう組織運用能力開発=データを扱える運用体制づくり、運用する人の能力開発につながるように仕組み化して取り組んでいる。
活動の特長として、成熟度診断を行い彼我の差を明確にし、データドリブン型に変革できるように全員の参加の意義明確化、組織体制の変革、ボトムアップの仕組み、サポートの仕組みなどへ展開している。また、コアツールをMicrosoft Power BIとし、その活用のための教育プログラムや教育ツールも自前で整備し、製造現場にとって欲しい可視化画面をそれぞれのメンバー自身が作り上げることができるようにプロジェクトの推進方法も含めて工夫が施された。これらにより、従業員のなかでデータドリブンとは何かが理解され、(技術レベル含め)やりたいことに応じて、安心かつ適切にデジタルツールを活用できる環境と教育が用意されている。従業員が自ら現場で活用し、改善させ、組織活性化につなげている一連の業務サイクルこそが、ロイカ工場のファクトリーマネジメントの特長と言える。
具体的には以下の点が高く評価された。
- 人・データ・組織風土を柱とした工場マネジメントのスマート化
- データ・ドリブン・アプローチによる工場の意思決定速度・質の向上
- 製造現場メンバー主体(自走)による可視化画面の開発・分析・活用による組織活性化
以上が、ファクトリーマネジメントとして評価される優良な活動として他社の見本となりうるものであり、GOOD FACTORY賞®(ファクトリーマネジメント賞)の受賞に十分値する工場であると評価された点である。