受賞企業・選考理由・所見
ファクトリーマネジメント賞 トヨタ自動車株式会社 SIAM TOYOTA MANUFACTURING CO.,LTD.
主要事業 | 自動車用エンジン・部品の製造、輸出 |
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設立 | 1987年7月 |
従業員数 | 3,145名(2022年12月時点) |
所在地 | タイ王国 チョンブリ県 アマタ工業団地 Group1 |
代表者 | PRESIDENT Virayot Prutakorawong |
圧倒的なコスト競争力を目指す「三本柱活動の経営的意義」
受賞理由・所見
SIAM TOYOTA MANUFACTURING CO.,LTD.(以下、STM)は、1987年に操業開始したトヨタグループでの世界最大規模ユニット生産拠点という位置づけである。
STMは製品需要に応えるべく成長を続けてきたが、一時期複数のプロジェクトが重複発生し、規模の拡大と従業員増加を急速に進めたため、人財育成が追いつかない状態を課題と捉え、モノづくりの基盤強化と競争力向上を進めるべく強化活動に取り組んだ。
その時に現在のファクトリーマネジメントの骨格を構築し、現在に至るまで継続され高い水準の成果を出し続けることに成功しており、以下5点に特徴をまとめることができる。
- トップの本気。 トップが何が問題で何を軸にしたブレない工場にするか考え抜いて活動の枠組みを設けたこと、またフォロー監査を行っていることなど、トップの主体的な動きがまず挙げられる。次に、活動が推進できるように専門の社長直轄活動推進部門(三本柱部)を設置するなど、組織の工夫を行ったこと、また全員が参加できるような活動時間の確保など、リソースの確保を行っていることが挙げられる。
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KPIの方針管理展開に、三本柱活動と名付けられたものづくり上の基本活動を組み合わせた
現場管理活動への落としこみ。
仕組みとしての特徴は、方針管理として現場まで目標が展開されてきた時に、各現場のKPIに置き換え、サブKPIに展開し、テーマ設定、そしてその実現のために構造化された活動に展開されている。 - 活動の徹底した見える化と情報更新。 進捗状況を記録している膨大なデータの維持管理工数解消のために産学連携で内製作成した電子管理への転換が進んでいる。
- 挑戦していく姿勢を維持するためのベンチマーク活動、意識を高めるための全員参加活動。 現場管理の仕組みと管理が、完成してしまうと当然、停滞が始まり、それを回避するために、STMでは職場力評価基準を明確にし方針管理に組み込んでいる。
- 人と人との助け合いと寄り添いを重視した人間尊重の考えが現れた仕組み。 各種取り組みを通じて、人間尊重(TOYOTA Wayでの中核概念)を感じ取ったが、STMで開発された活動の中で最も素晴らしいものはバディシステムと思われる。これは、潜水士のバディと同じ意識で、対等の職位にあるもの同士がお互いに助け合う仕組みである。
以上が、ファクトリーマネジメントとして評価される優良な活動として他社の見本となりうるものであり、GOOD FACTORY 賞(ファクトリーマネジメント賞)の受賞に十分値する工場であると評価された。