GOOD FACTORY賞®

ファクトリーマネジメント賞 株式会社東芝 豊前東芝エレクトロニクス

主要事業 主要事業:オプト半導体・小信号半導体デバイスの製造
設立 豊前地区(本社)1973年1月、直方地区1970年3月
従業員数 594名(2022年3月31日現在)
所在地 豊前地区/福岡県豊前市大字沓川760番地 直方地区/福岡県直方市大字上新入 1891-1
代表者 代表取締役社長
神谷 和文

『人と地球の明日に向けて“モノづくり力世界No.1になる』

受賞理由・所見

豊前東芝エレクトロニクス株式会社は、豊前地区と直方地区の二つの生産拠点を持つ会社である。同社の工場管理活動の重要な特徴として、長きに渡り現場中心に全員参加で改善活動を推進している、そして装置の内製化を進めていることがある。また、全社から見た位置づけとしてタイ工場のマザー工場としての役割を担っている重要な会社である。

同社はこれまで、他社との熾烈な競争にさらされているとともに、派遣社員の定着率の課題に直面しており、これらの問題を克服し、生産能力増強と生産性向上を実現できる体質の強化、および人材育成が大きな課題となっていた。

これらの課題に対する工場マネジメントの解決策として「ONE BUZEN」という活動ビジョンを制定し、「人と地球の明日に向けて“モノづくり力世界No.1”になる」ことを目指した戦略マップに基づいて施策を展開している。その施策推進の原動力となるマインドとして「変わることが、未来を創る」(No Change,No Future)を合言葉に会社の風土づくりを進めている。

活動の特徴としては、従業員の「気づきの力」を向上する能力開発、技能伝承を効果的に進める継承教育、従業員のモチベ―ションやエンゲージメントを高める諸施策を打ち出している。これらにより、従業員が自ら職場を変えていく改善活動を推進し、従業員の自主保全を可能としているところは特徴的である。以下が同社の特徴に関連する具体的な内容である。

  1. 活動の枠組み・しくみ構築 2つの事業体を 1つに力を合わせ、未来をつくるビジョン「ONE BUZEN」を制定し、戦略マップを構築し、各部署の部門方針へ展開、施策構築・検討を実施している。
  2. 気づきを意識した3つの「宝箱活動」(部品・不良・人材) 部門方針を達成する施策の推進として、気づきの力を武器とした地道な改善の継続・進化を進めている。これらは、従業員の自主性を高める「宝箱活動」と名付けられ、問題の発見と解決に至る方法や資源として、現場には多くの宝があるということに由来している。
  3. モノづくりを支える技能の継承活動 労働力の高齢化に対応した技能の継承策として、「あゆみ塾(豊前地区)」と「明巧塾(直方地区)」を立上げ、OFF-JTを推進。実践的な教育と訓練は、社内技能コンテスト好成績にも繋がっている。
  4. 高経年設備の維持と活用活動 装置・部品の内製化や保全などにより、古い設備を高パフォーマンスで活用している。また、古い設備をそのまま使うだけでなく、新たな付加価値や機能を加えることにより、工程の変化点を最小限に抑えることを可能としている。これにより、顧客への変更申請から承認までの時間を短期で実現している。
  5. 現場の洞察力向上を目的とした特徴ある活動 短い時間の中で、不具合や問題点についてディスカッションを行い、改善に繋げる活動をしている。
  6. モチベーションやエンゲージメントを上げる活動の推進 従業員の意識向上を図るために、働き方改革委員会、人材開発委員会、グランドデザイン委員会の3つを組織し、従業員で構成された活動を行っており、組織力向上や人材の力を向上に良い影響を与え、結果、自律性に結びついていると思われる。

上述した活動内容などから総合的な評価を行い、豊前東芝エレクトロニクス株式会社は、工場管理とその活動内容は、GOOD FACTORY 賞(ファクトリーマネジメント賞)として高く評価できるものであり、十分 に受賞に値すると判断した。