株式会社東芝 / 東芝情報機器フィリピン社 (Toshiba Information Equipment (Phils.),Inc.(TIP))

ファクトリーマネジメント賞

総合所見

img_award-toshiba02

 東芝情報機器フィリピン社Toshiba Information Equipment(Philippines) :(以下TIP)は、(株)東芝のフィリピン現地法人として青梅ストレージプロダクツ工場を親工場として1995年に設立された。

 工場の稼働は96年10月からで、現在の従業員は8,093名。生産品目は全社的な「事業の選択と集中」により変遷はあったが、現在は、HDD(2.5インチ、1.8インチ)および、SSDを生産している。
 同社の特徴として、創業以来「トップマネジメントと従業員のコミュニケーション」を経営の基盤にしており、その結果として、トップダウンとボトムアップのマネジメントの調和のとれた仕組みが作り上げられ、全社的にきわめてイノベーティブな工場運営が実現している。

 年々増大する生産量に対応して改善を進めると、改善の成果が表れて生産性が向上し、社員のモチベーションが上がり、さらに新しいイノベーションが進められる……という良い循環が生まれており、その結果、小集団活動なども活発に進められて、ローカルスタッフも成長し、ローカライズが無理なく進められる……という結果になっている。

 今回の現地審査にあたって、全社的なマネジメントシステムについてトップによる説明のほかは、SGA(小集団活動)、KAIZEN活動、TPM活動、TP/IE活動、品質改善、能力開発・教育システム、CSR・環境活動……等の各機能活動についてはローカルスタッフのマネジャーから説明を受けた。どのマネジャーも自分の言葉で自信を持って説明していたことに加えて、印象的だったのは、どのマネジャーからも、「TRUST」という言葉が聞かれたことである。また、廊下ですれ違う社員全員が挨拶をしてくれるなど、ある種のウエットな人間関係が当たり前のように機能しているのをみて、TIPのトップとの間の良好なコミュニケーションがマネジメントの基盤になっていることが実感された。

 経営体としてみても、各機能がバランスよく成長しており、ダイバーシティも進み、また、地域貢献などCSR活動も活発に行われている。国内の親工場に対して、チャイルド工場としてスタートしながら、十分に自立できるまで成長し、すでにアジア圏での、いわば長男工場として成長をしているといってよい。現地法人の在り方として、一つの目標となるべき工場と言える。