梶文彦の「ニッポンものづくり紀行」 その41|千年もった釘の秘密
これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。
千年もった釘の秘密
法隆寺や薬師寺の建造物には、釘が使われています。ヒノキは1000年もつが鉄は100年しか持たないと言われているのになぜ、法隆寺や薬師寺の釘は1000年を超えてもっているのか・・・。
年輪が詰まったヒノキの脂が釘の酸化を防いでいるというお話は以前にお伝えしましたが、それ以外にも、釘そのものにもさまざまな工夫があることがわかってきたそうです。
1.釘に使われている鉄の純度が高いこと
2.鉄が何層にもなっているので表面が錆ても芯までいかないこと
などです。
1.純度が高い
鉄は錆びるというのが常識ですが、純度の高い鉄はさびにくいそうです。法隆寺や薬師寺に使われている鉄は砂金を、木炭とふいごで風を送って製錬する「たたら製鉄」で造られたものです。それを叩いて和釘に成型する過程で鍛造され、炭素分を排出することで鉄の純度を高くしているので、サビにくくなっているそうです。
2.層になっている
さらに、叩くことによって鉄が年輪のように何層もの縞になり、表面がさびても、次の層が隔壁になって芯にまでサビが到達することを防いでいるそうです。
それにしても、人生40年とかいう時代に、こんなに1000年も超えるノウハウと工夫を、誰が見つけたのでしょうね。感覚で処理しているのでしょうか。なぞです。
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梶文彦氏執筆による、コラム「ニッポンものづくり紀行」です。梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています!
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